ストレリチア秘話No.125 ストレリチアと雑種強勢 その2

 この雑種1代目は、じきに、その生まれつきの優れた性能を示し始めました。まず、生育旺盛で、大きく育ち始めたのです。大きくなることは必ずしも良いとばかりはいえませんが。勢いの良さを持っていることは栽培家にとって嬉しいことです。つぎに花、苞の美しさを備えていることでした。これは素晴らしいことです。育種家は、これを目指して骨折るのです。それが早くも達成しかけているのです。もう一つ、花立ちの点でも、文句なく優れてもいたのです。全体として黄色種の親株に比べて遙かに優れて、まさに「雑種強勢」を現していたのです。これは黄色種にはなかった美点と強さがオレンジのレギーネによって受け継がれ、強化された、ということなのでしょう。

 この雑種第1代はオレンジ色の花でしたが、これは当然のことで、後は、メンデルの法則に従って交配すれば良く、結果として2代目から黄色が現れてきました。さて、これからがストレリチアらしいところなんです。ふつうの草花や野菜でしたら、雑種強勢は1代目限りで、2代目では、良さは失われてしまうのが普通なのですが、ストレリチアは、このジャンセアは違いました。2代目、3代目と進むにつれ、花色の素晴らしいものが出てきたのです。勿論、稀に、ですが。花立ちの良さも、全部とはいえないまでも、相当な割合で残っています。育種家にとって、こんな喜ばしいことはありません。優れた点が揃っているのですから。

 現在、3代目が進行中ですが、この辺りで理想とする優秀品種が登場するであろうと思っています。育ちの旺盛さの点でも、いままでのジャンセアの欠点を補ってくれそうです。やはり、「雑種強勢」はストレリチアにもあったのです。