ストレリチア秘話No.139 ストレリチア栽培 上級コース

 私の住む南房総の海岸地帯では、南アフリカ原産のキダチ アロエが、あちこちに自生状態で繁茂しているのをよく見かけます。その堂々とした姿は自生地に何ら、引けを取りません。捨てられたものが生きてしまっているのです。同じような出身のストレリチアは、こうはいきません。周りの植物に紛れ込んで強い自己主張ができないようなのです。

 これと同じ場面に出会ったことがあります。レギーネ最大の自生地、プルートの谷では、ストレリチアは、周りの植物とは一定の距離を置いて、独立しているのが殆どでした。これに引き換え、手前、数キロmにあるエッカ パスの自生地ストレリチアは、他の植物も密生していて、その中では、ストレリチアは、葉しか見えない状況でした。同じ地域なのに環境条件が違っていたのです。比べてみれば、プルートの谷のストレリチアのほうが望ましいに決まっています。見ただけで分かるのです。

 しかし、エッカ パスの方が条件が良かったのでしょう、他の植物も多く入ってきてしまったのです。これに引き換え、プルートの谷は、条件が厳しく、他の植物は、なかなか、入り込めなかったのです。表面だけを見ればこちらの方が栄えているように見えるでしょう。しかし、それは、長い間、我慢を重ねてきた結果なのです。

 私たちの栽培では、こんなに我慢をさせては時間が掛りすぎます。栽培とは、ストレリチアの望む条件を満たしてやることです。十分な日光、心地よい通風、そして適量の水。ストレリチアが自然の中で、これをやろうとすると、他の植物が入ってきて奪い合いになってしまいます。ストレリチアに、これを独占させてやるのが栽培なのです。

 ストレリチアは強い植物であるとはいえ、キダチ アロエほどではありません。やはり、相応の面倒をみてやらないと、本来の力を発揮出来ません。