切り花栽培農家は、暮れ、年末の出荷に間に合うよう花の栽培に苦労します。正月を控えた年末は、切り花価格が高いからです。ストック、キンギョソウ、ポピーなどの草花は、種子をまく季節によって開花時期が変動します。アイリス、フリージアなどの春咲き球根は、秋に冷蔵庫へ入れて、一旦、冬を体験させてから植えると開花時期が早まります。狙いを合わせ、今までの経験の上に実施するのですが、その年の気候の影響もあって、なかなか、思うようになるわけではないのですが、ある程度までは成功します。植物が人間のコントロールに従ってくれるからです。
この点、ストレリチアは頑固で人間の思う通りには動いてくれません。ストレリチアだって開花期の変動はあります。しかし、それは環境条件の変化によるものはわずかで、その殆どが、自分の都合によるものであって、他からの影響を受けてのものではないのです。若い株が秋に開花し成熟するにつれて遅くなる、夏の高温続きが開花を遅らせる、あるいは「気まぐれ」など、みんな人工条件ではありません。それでも、暮れの花を四,五日、程度、早めるぐらいは出来ます。ハウス内の温度を高めれば良いのです。但し、三,四日位ぐらいでは効果は出ませんから、半月、一月も前からとなります。こうなると、切り花価格が燃料費を吸収してくれるか、どうかの問題が起きてきます。
とにかく、いまの私の栽培技術では、ストレリチアの花は「咲かせる」のではなく「咲いて頂く」状態です。