ストレリチア秘話No.160 ストレリチア栽培 上級コース 「生長方針の変更」

 これは鉢植え栽培で起きる現象で、地植えでは極端な場合以外起きません。また、主にジャンセアに起きやすく、次いで、パービフォリアで、レギーネは少ないようです。

 水やりの回数が少ないと、初めの内は気づかないものの、半年以上もすると、地上部の葉や茎の生長が悪くなり、代って、根茎の発達が著しく、目立ってきます。どうやらストレリチアは生長方針を「生長、開花」から「備蓄」に変更したようです。いったん、こうなってしまうと、水やりを多くしても変化は起きません。

 仕方なく、鉢を抜き、根茎を切り縮め、仕立て直しをして、水やりも多くします。こうして1年も育てると、やっと元のペースに戻ります。完全に元の姿になるには、もう1年掛ります。どうやら、ストレリチアには生長方針があって、一度、決定した方針を変更するには、条件を変えただけでは済まず、それを長い間、続けないといけないらしいのです。

 なぜ、ストレリチアが、このような行動をとるのかは、自生地の厳しい環境条件に適応するためであろうと推測出来ます。ジャンセアが最もハッキリと示すのは、ストレリチアの中では一番、厳しい土地に住んでいるからでしょう。

 私は、数年前から、ジャンセアには、必要を越える水やりをした方が結果が良いとき気づいていました。でも、その理由が分からなかったのです。なにしろ、ジャンセアは、そんなに水を必要としない筈だからです。それが、ここへきて、ようやく判明してきました。ジャンセアは、受ける水の量によって、生長方針を決めていたのです。私が水を多くやることによって、

「水はタップリやるから、もう、備蓄なんかしないで、生長開花に力を振り向けてくれよ」

 のメッセージを伝えていたのです。水には、直接の効果だけでなく、こんな間接的な効用まであることを教えられました。