ストレリチア秘話No.170 ストレリチアの花茎の長さ 

 オレンジ プリンスもゴールド クレストも花茎は長く伸びます。時には葉を越えるほど長いのも珍しくありません。初めの頃は切り花が主眼でしたから、花茎は長い方が有利でした。短い花を長くすることは出来ませんから、これは優れた特徴の一つでした。それが、ここのところは来て、少々、変わってきているようです。

 ストレリチアが切り花だけでなく、鉢植え栽培が盛んになってきた現在では、花茎の長いのは悪くはないものの、そう、こだわらなくてもよい、という風潮も出てきています。それは、ジャンセア、パービフォリアの登場による影響です。レギーネでは花茎が短いと花が葉の陰にかくれてしまうのに対し、ジャンセアでは隙間だらけですから、花は低い位置にあっても、よく見え、また、風などの被害を受けにくい利点もあるのです。しかも鉢植えは、そのままの鑑賞で、切り花にするわけでないので、花茎は長くする必要はないこともあります。

 育種家の私からみても、レギーネの時と違って、親株の形質の中に必ずしも花茎の長いものばかりではなかったこともありました。中でも、特に短いのが矮性種です。これは体が小さく、養分の蓄積も少ないので、花茎に余分な力を使いたくない、ということも関係しているのかもしれません。

 鉢植えは、全体のバランスが大事ですから、花茎は長ければ良い、というわけではありません。ほどほど、がいいのだ、と思っています。