ストレリチア秘話No.175 ストレリチアの可能性を拓(ひら)く その1

 私はストレリチアの育種家として、今までには、なかったストレリチアの作出を目指しています。

 「なぜ、そんなことまでするんですか」

と質問されるでしょう。

 「いままでなかったようなストレリチアが出てくれば、新しい分野に進出出来るでしょう。ストレリチアの可能性の開拓を目指しているのです」

 南アフリカ イースト ロンドン近郊 クウェレハ川口の断崖に咲くレギーネの花は、川面の上空に向かって、いま、まさに飛び立とうとしている姿を見せてくれています。こんな躍動的な花が他にあるでしょうか。花、といえば、殆どが丸い形で、円満、そのものを表現しています。それに引き換えストレリチアは、直線に近い形状の鋭い姿で、一つの方向を指し示しています。動きを現しているのです。ストレリチアは他の花のように見る人に安らぎを与えるよりは、激しく、ゆさぶり、刺激しているようにも思えるのです。思えばストレリチアは、私たちに取っては新しく出現してきた花で、まだまだ、未知の分野を多く抱えています。この花の姿が「大きな飛躍」を望んでいるように感じられてなりません。そのエネルギーに私は動かされているのだと信じています。

 すでに動き出していますから、その様子を検証しながら、見ていきましょう。新しい開拓は「異端から始まり、普通に至る」まさに、その通りの道を進むことになってしまいました。その一つの例を次に紹介しましょう。