ストレリチア秘話No.178 大きな誤解「小さい苗から大きく育てる」

 大勢のお客さんを相手にしていますと、

「ストレリチアの小さな苗はありませんか、私は小さな苗から大きく育てるのが好きなんです」

 と、こういう人に、時々、出会います。ストレリチアを草花と同じに考えているのです。草花でしたら数ヶ月で勝負がつきますから、それでいいのですが、ストレリチアはそうはいきません。レギーネで5,6年はかかりますし、ジャンセアでは10年から15年もかかることは珍しくありません。こんなに長い年月がかかることを、「好きです」「楽しいです」といえる人は、そうそう、いないでしょう。つまり、ストレリチアという植物を誤解しているのです。私の仕事は、この気長なことを、どう紛らわしていくかの連続なんです。..

 その一つは毎年、続けることです。これですと、最初の5,6年を我慢すれば、後はもう、毎年、次々と追いかけてきますから、「待つ」ことはなくなるわけです。でも、この方法は大量に作るからやれることであって、1,2本しか育てない趣味の人の出来ることではありません。結局、私たちは時間を操作することはできません。ストレリチアと付き合うには、ストレリチアの時間に合わせなければならないということでしょうか。

 それと、もう一つ、小さな苗ならば安いだろうと思うこと、これも誤解です。ストレリチアは小さな苗だからといって安いわけではありません。余分な思惑などに振り回されないで素直な気分でストレリチアに対してもらいたいものです。

 一つ、面白い「お遊び」を紹介しましょう。それは「一作開花の実生の未開花株」を手に入れて、どんな素晴らしい花が出るか、の期待を楽しむことです。ただし、これは「くじ引き」「ギャンブル」の要素がありますから、多少のリスクは伴います。それでも普通のクジとは違って「外れ」がないことです。どんなに悪くても普通のストレリチアは出ます。困るのは、こういう品が手に入るかどうか、ということです。分けてもらえないのでは、いいも悪いもありません