ストレリチア秘話No.181 先祖に帰る

 今までに交配によって1000本を越えるジャンセアの苗を育ててきました。初めはオレンジで、現在ではゴールドに移ってきていますが、その結果、ジャンセア特有ともいうべき現象に戸惑っています。

 交配にあたっては、両親とも典型的なジャンセアの無葉種を使っているのに、生まれてくる子供たちの中には先祖の姿、小さな葉をつけたパーヴィフォリアや数は少ないながらもレギーネの葉をつけたものまで出てくるのです。これが、ほんのわずかな数であれば、遺伝の現象として当然のこととして受け止めることが出来るのですが、約20%をこえる量となると、この現象には、何らかの理由、原因があるのではないか?との考えも出てくるのです。

 ジャンセアは乾燥化が進行するアフリカ大陸の中で適応するために仕方なく葉を失った姿に進化のであろうとされています。このことが起きてから、まだ日が浅く、遺伝がまだ固定、安定していないのではないか、だから、先祖の姿に帰ってしまうのではないだろうか。葉があれば光合成が楽に出来て生きやすくなるのです。これは、あくまでも私見であって、一つの仮説です。

 とにかく、育種家は、これに対処してジャンセアを生みだしていかなければならないので

す。