ストレリチア秘話No.196 ストレリチアの変異

 ストレリチアの変異については今までにも述べてきましたが、まだまだ、あります。株全体の色合いです。葉の裏、葉柄、花茎が緑色から銀色がかった灰緑色までの広がりです。この色の違いが性能にどう影響するかはわかってはいませんが、多分、大きな差はないだろうと見ています。

 変異の差が大きく表れるのは花です。萼片の大、小、幅、長さには多少の違いがあるていど、色はオレンジ、黄色、大型種の白色ぐらいで他のいろはありません。ところが、苞は、形は長、短、太さの大、小ぐらいですが、色彩は千差万別、一株、一株が違って個性を主張しているのです。

 苞の色は灰色、薄緑色、緑色、赤色、紫紅色、紫色と様々な色によって構成されています。これらの組み合わせで個性が生じるのです。しかも、人の手で変えられるのを頑なに拒むストレリチアが、ただ一つ、応じてくれるのが、この部分なのです。こここそ、育種家の腕の振るい所といえるでしょう。

 花は花びら、花弁が美しさの中心になっているものが多いですが、実はポイントセチアもアジサイも人の目に印象強く映るのは「苞」であって花弁ではないのです。ストレリチアだって、花弁の色の変化を出すのは不可能であっても、苞の色を強烈に出せば、そこが花の印象を決定づけるポイントとなることでしょう。

 これは夢の話ではありません。現在、すでに進行中のことがらなのです。