ストレリチア秘話No.202 運命の出会い ストレリチアと

 私は20歳の頃から花の栽培が趣味でした。24歳の時です。洋ランを探しに東京の種苗園を訪ねました。そこでストレリチアの自生苗に出会ったのです。その頃、ストレリチアは日本に入ってきて間がないころで、全国的にみて、それがすべてだった、とは後から分かったことでした。その頃の私は、ストレリチアが珍しい花であることを知っている程度で、何が何でも欲しいという気持ちはありませんでした。

 それなのに私は、即座に450本の苗、全部を買い取ることに決めてしまっていました。今でもって私は、あの時の、自分の心境を思い計る事が出来ません。趣味で2,3本の苗を買うのでしたら、何ら不思議はありません。「当時の我が国で、それだけのストレリチアを持っているのは他にいない」と、社長が驚いたのを覚えています。支払いも、持っていた小遣いでは、とてもたりず、帰って、なけなしの貯金を下ろすことにしました。

 その後、苗が送られてきて、あわてました。450本もの苗を植える土地がないのです。仕方なく、近所の家の裏の空き地を借り、手作りビニールハウスらしきものを作って植えました。季節は冬、もう霜が降りていました。

 その時代の私はサラリーマンで花は、趣味。それなのに手がけた、ストレリチアはプロ並みの量です。私は、そこまだ考えて手を出したのではありません。「手に入れずにはいられなかった」というしかありません。さあ、これからが苦労の連続でした。

 その後、時が流れてストレリチアは私の人生の中心とまでなってしまったのですが、今でもって自分でも分かりません。「どういうわけで、わたしはストレリチアと運命を共にすることになってしまったのか?」