ストレリチア秘話No.225 ストレリチアの花は 「華やかさ」に向かっている

 植物が自然のままでいた頃は、花は昆虫や鳥の好みに合うように進化していました。 そこに、 人類が介入してくる用になると様変わりし始めたのです。今度は人類の好みに合わせなければならなくなってしまいました。正確にいえば、植物自信が目指すのではなく、人類が選ぶ方向に進まざるを得なくなった、と言う事になります。つまり、人の好む花が残り、好まれない物は消え去ってゆくからです。

 私が、我が家から出て、外の世界で見るストレリチアには、「これは、あんまりきれいな花ではないな」と、いいたくなるような花に、出会います。それは、改良が加えられなかった古い系統なのです。花、全体が沈んだような地味な色彩で、訴えかけてくるような華やかさを持ち合わせていません。(ここで言う花とは、主に苞を指しています)

 花とは、元々、葉から変化した、とされています。従って、そこに緑色の葉緑体が残るのは何ら不思議はありません。しかし、明るい緑色ならともかく、暗い灰色がかった緑色では、他の色と混じった場合、濁った、暗い感じになってしまうことが起きてしまいます。ここは、どうしても赤い色素のアントシアニンに活躍してもらわなければなりません。しかも、葉緑素が入った濁った色ではなく、鮮やかな色に出てもらいたいのです。

 ストレリチアの花とは、こんなものなのだ、と決めつけてしまってはいけません。花の進化の主導権は、すでにサンバードから人類に渡ってしまっているのです。ことは、私たちの色彩感覚、美意識に委ねられていますから、今後のストレリチアの花の美しさは、私たちが決める、と言ってよいでしょう。私は決して不可能な夢の話をしているわけではありません。 

 ストレリチアの頑固な性質の中で、 ただ一つ、この苞の色だけは、私たちの思いを聞き届けてくれるのを知っているからなのです。