ストレリチア秘話No.228 トレリチアにも第二の故郷の影響が?

 私は今までに散々、ストレリチアの故郷、南アフリカ 東ケープ州の気候、風土がストレリチアに強い影響を及ぼしてきたかを述べてきました。そしてストレリチアも環境と一体の性質を受けるだけでなく、環境の変化にも耐える頑固さも身につけているのも特徴である、とも。

 でも、基本的には、これからも変わらないだろうとは思うのですが、100% そうだともいい切れないのではないかと思い始めています。私の所には、原産地で生まれた原種もあれば、そこで育った交配種も栽培されています。でも、割合からいけば、日本の私の所で生まれたストレリチアの方が断然、多いのです。これらは皆、種子から育てたものですから、生育の過程で日本の環境に適合したものが選ばれて生き残ったと考えることもできましょう。交配が一代、二代程度では、はっきりとはしないかも知れませんが、今後、この回数は次々と多くなります。交配、つまり、遺伝の再構成はゼロサムゲームで、トランプの遊びに似ています。カードを一枚もらうには、手持ちのカードを一枚捨てなければならないのです。もし、その捨てたカードが残しておかなければならない大切なものだったことが後で分かっても、もう間に合いません。 植物の世界では、このことは早くから起きていました。

 一年草の草花や野菜では毎年、交配を繰り返すことが出来ます。このため、よくも、悪くも、結果が早く出てしまいました。捨てられたカードに「耐病性」があったのです。結果として農薬に頼らなければならなくなってしまいました。いまさら、もう、間に合いません。

 ストレリチアの育種は、未だ日が浅いために被害は目立っていませんが、将来は心配です。 ことは遺伝の構成と環境による選抜、陶太にかかってくるのです。花の美しさや花立ちのよさを求めた結果が、ストレリチア本来の持ち味だった頑固さ、強健さを失ってしまったとしたら、弱々しい姿のストレリチアが残ってしまうということにもなりかねません。

 また、耐寒性も望まれていますが、こちらは植物の生き方の基本でもありますので、そう簡単な問題ではありません。「あちらを立てれば、こちらが立たぬ」このことわざが身にしみます。