ストレリチア秘話No.236 ジャンセアの花

 ストレリチアの花は、みな同じように見えます。ところが、種(しゅ)が違えば、僅かながらの差があるのです。一本だけ取り出されたのではピンときませんが、何本か、まとまった姿となると、その個性がはっきりと現れます。

 ジャンセアの自生地、ブラックヒルを訪れた時のことでした。地主の邸の前を街道が通っていて、その道ばたに小さな小屋があり、ストレリチアの切り花を売っていたのです。10本位を1束にしてバケツに何束か入れられていました。そのジャンセアの花の集団の印象は、私にとって驚きでした。今まで見てきたレギーネの花とは違った雰囲気なのです。花がやや小さいだけでなく、花も茎も全体の色が濃いのです。緑も赤も。つまり、強烈な個性が感じられました。

 見渡すと、邸の庭園の一部に数十株のジャンセアが植えられています。交通量の少ない道路では、大して売れないだろうとは思うのですが、なんとか商売になっているのでしょう。

我が国では、ジャンセアのまとまった量の栽培はありませんから、この花の個性を生かす需要は生まれべくもありません。花は用途が広くなれば、それだけ需要は多くなります。今後に期待していることの一つです。