ストレリチア秘話No.273 ストレリチア 寒害の狭間

 我が国では南西諸島を除いた地域でストレリチアを枯らす原因のトップが寒害です。

 しかし、不思議にも寒い筈の寒冷地では大きな問題とはなりません。元々、栽培量がすくないこともありますが、寒さに対しての感覚がしっかりしていて、対策が十分だからでしょう。ストレリチアが寒さにやられるのは、本州の太平洋岸から、四国、九州へかけての比較的温暖な地域です。勿論、私の住む南房総も入りますから、散々、経験させられています。この地域は、普段は温暖ですから、寒さに対しては感覚に緩みがあり、結果として対策も万全とはいえないのが実情です。 寒さの続く冬の約3ヶ月は長いように思えますが、 それは私たちの体感であって、ストレリチアにとっては大したことではないらしいのです。 困るのは、一冬に1、2度やってくる大寒波なのです。やられるのは、この時で、しかも、 明け方のわずか数時間の間でしかありません。この時だけを気をつければよいのです。 ふだんは、まあまあ、でもよいでしょう。

 近頃は天気予報が正確になりました。ストレリチア栽培では、最低温度を確かめる事が重要です。ただし、心得ておかなければならないことがあります。それは気象庁の発表する温度は霜の当たらない場所での計測であることです。霜が直接、当たるところは、もっと下がるのです。最低温度 3℃とあったら、露地では氷点下になると思えば間違いありません。 ストレリチアは一度、凍らせたら、例え、枯れなくても回復に1年以上かかります。それが、わずか数時間を守ってやれなかった事から起きるのです。

「ストレリチアは寒さに弱い」は正確な表現ではありません。 正しくは、「氷点下の温度にはさらさない」なのです。