ストレリチア秘話No.449 ストレリチアの荒々しさとたおやかさ

 荒々しいたくましさと上品なたおやかさ、この隔たりの大きい表現が、共にストレリチアに使われるのですから混乱を招いてしまいます。私は「ストレリチアとは」を解説する立場にありますので、これは正確に分別しなくてはなりません。

 この表現は一つの株についてではありません。ストレリチアにも、色々、あるのです。

まず、オレンジ色系と黄色系の違いです。荒々しいのはオレンジ色系であって、黄色系はたおやかなのです。黄色は後から生まれたもので、赤い色素を失う共に荒々しさも道連れに捨ててしまったのではないでしょうか。私の栽培場では黄色種の方が多く、オレンジはわずかしか置いてないので、つい、評価が黄色種に偏ってしまいます。その中で、時々、オレンジ系にふれて、改めてストレリチア本来の姿を思い出します。そこへ、つい、最近、オレンジの苗を見る機会があって、その成育の速さ、強さに驚きました。ふだんは黄種の苗ばかりを扱っているのですから、その育ち方がが当たり前の気分になっていたからです。

 レギーネとジャンセアにも大きな開きがあります。それは生育の速さにあります。ジャンセアの方がレギーネの2割から10割、つまり、2倍も多く時間がかかってしまうのです。

 ジャンセアは厳しい環境条件に耐えるための確りした組織を作らなければならないからです。この点、新しく登場したジャンセアゴールドは黄色種だからなのか、或いはレギーネの遺伝が入っているせいか、生長がやや速いように感じています。まだ、厳密に比べたわけではありませんが。

 こんなわけで、ストレリチアについて正確な表現をしようとすると、それが、どの系統であるかによって違いが出てくるのです。その差は驚くほどのものではなくても、やはり、気を付けなければならないと思っています。