これも高等技術の一つといえましょう。ストレリチアの鉢植えには一年を通じて水やりがついて回ります。一見、同じことの繰り返しのように見えますが、実は、夏と冬とでは違いがあるのです。回数の多い、少ないだけの単純な問題だけではありません。ことは気候、わけても、気温、湿度の差が関わってくることです。
夏は取り立てて気を使うことはありません。普通の感覚で回数を多くすればよいことです。ところが、冬はストレリチアの水の必要量が少ないことと、気温が低く、土の乾きが遅いことが加わって、水やりの回数が少なくて済み、楽な季節ですが、うっかりすると陥りやすい危険があります、が、この章のテーマです。
冬は低温だけでなく、空気も乾く、乾燥した季節です。この乾いた湿度が厄介を引き起こします。草花は、あまり乾かない内に次の水やりをしますので問題は起きません。しかし、ストレリチアは、一旦は乾いてからの水やりですから、この乾いた季節では、時には乾きすぎになってしまうこともあります。回数が少ないだけ、一回、一回の意味が重いと考えべきでしょう。これが第一の問題点です。
第二は、ここまで乾かすと、土は芯まで乾いてしまって、少々水やりぐらいでは、土、そのものが、先ず、水を吸うので、何回も水やりしないと、本来の目的が達せられません。幸いにも、この季節は、鉢の表面の土が乾いても、中が湿っていれば、大事に至らないで済むことが多いのです。どこまで乾いているか見極める目が必要でしょう。
少しの不手際ぐらいでは目立った障害にならなくても、最高の理想を求める栽培では、ゆるがせにして良い問題ではありません。