ストレリチア秘話No.566 人と人、人とストレリチア

 この両者の関係は似たようなものです。人間関係が難しいとは、よくいわれますが、人とストレリチアの間柄とて同じで、浅くもあれば、切り離せないほど深くもなるのです。沖縄のストレリチア栽培家、特に一番盛んな津嘉山農協の人たちは、集団で、今までに何回となく南房総の我が家を研修に訪れています。生業だから当然といいきるわけにはいきません。

 これだけ遠いところまでやってくるからには、ストレリチアにかける情熱がなければ出来ることではありません。結果として、その後の沖縄は我が国最大の産地に育っていきました。

 趣味家だって負けていません。福岡県から航空路線経由で、わざわざ、3回も訪れている人も居ます。今となると、持っているストレリチアは超一級品揃いです。

 そうかと思えば、わずか100~200kmしか離れていないのに、「南房総は遠いから、そうそう、簡単には行けません」と言う人も居ます。私に言わせれば、

 「江戸時代以前、歩くしか無かった時代でも、全国を駆け回った人だって珍しくはなかってのですよ」

 事は距離ではなく、ストレリチアに対しての情熱の差なんですね。この差が持っているストレリチアに現われないことがあるでしょうか。これは時間にも表われます。

 「その内、暇が出来たら伺います」

 では、私がストレリチアだったら納得するでしょうか。私だったら、欲しいとなったら、矢も盾もありません。すぐに駆けつけなければ気が済まないのです。お金の問題になると簡単ではありません。無い袖は振れませんから。それでも、出来る限りはするでしょう。この情熱がストレリチアに現われないはずが無い、と思っているのです。

 以前の章で、人とストレリチアとの相性について述べましたが、あれは表面上のことであって、その背後には、こんな事情があったのです。