私は以前の章で「ストレリチア研究は経済的に引き合わない」と述べましたが、今回は、その説明です。ストレリチアという植物は、人々から欲しいと注文を受けたからといって、それに応じる事が出来ない事情を抱えているのです。注文が、わずかひと株なら、株分け出来れば何とか応じることも可能でしょう。でも、大量の注文では不可能なのです。
これは数十年前の出来事ですが、ストレリチア ジャンセアが世の中にデビューする大きなチャンスが巡ってきたのですが、残念ながら、そんなことは起きずに済んでしまいました。東京のある地区に近代建築ができあがり、その庭園の植え込みに建築家がジャンセアを植えようと数百本の注文をしてきたのです。私から見ると、すばらしいアイデアでしたが、残念ながら在庫は 10数株のジャンセアしかありませんでした。数百本のジャンセアを養成するには10年以上もかかるので、とても待ってはもらえず。この案は消えてしまいました。この時、私は知らされたのです。ストレリチアの良さを活かすには誰かがリスクをおかさなければならないのだ、ということをです。
特殊なストレリチアの種子を多く採るには親株を揃えるだけで何年も掛かります。その上に採取に一年はかかり、1人前の養成には5年も10年もかかってしまいます。それなのに、注文する方は半年ぐらいしか待ってくれません。こんな分の悪い事は誰でもできることではありません。もし、やれたとしたら、競争相手などない独自の仕事となってしまうでしょう。ストレリチア研究とは何と辛いこことを要求されているのでしょうか。

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