前章にて人とストレリチアには様々な結びつき方がありますから、自分に合った関係を見つければ良いと述べました。でも、それは全般についてでありまして、その中でも良し、悪しは当然、生まれてくるでしょう。ここでは、お手本にしたいぐらいの関係はないものか、探ることにしてみましょう。
人とストレリチアの関係は二つに別れると見て良いのではないでしょうか。一つは、お互いが独立した存在同士の付き合いです。
二つ目は、お互いが深い関係で影響し合っている場合です。これは大きな違いです。
第一の関係です。これは職業であろうが、趣味であろうが、その立場に関係があるわけではありません。ストレリチアを草、つまり、ものとして利用し、用途とする立場です。この場合は相手のストレリチアに対しての配慮は殆どありません。自分の利益が優先するからです。切り花で言えば、高く売れるか、安く売れるかが最大の問題で、栽培の質の向上は次の問題となってしまいます。趣味で言えば、自分が楽しめれば良いのです。つまり、第一の関係の目的は利益が最優先で他は後回しになってしまいます。しかも人の利益が優先するのですから、ストレリチアの方は、たまったものではありません。ストレリチアを相手にする目的が利益だけなら、本当に打ち込める気持ちになれるでしょうか。
次は第二の関係です。ここでの両者は独立していません。ストレリチアは人に育てられて安定した生活が守られ、人はストレリチアと共に生きることで豊かな気分が得られて生活に幸せを感じています。実は意外と知られていないのですが、植物は、人を幸せにする可能性は持ってはいるものの、この能力は、そのように育てられた場合にしか発揮してくれないのです。つまり、相手次第なのです。これこそがストレリチアを趣味とする秘密といえましょう。
私は自分が作出し、育てたストレリチアを販売するのが仕事の一つですが、折角のストレリチアを第一の目標に使ってもらいたくはありません。第二の目標こそが希望なのです。でも、必ずそうはならないこともあって困っています。
この深い秘密にふれてこそ、本物のストレリチア愛好家なのです。

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