昔、オレンジ色しかなかった時代のストレリチアは、中々、人の望み通りには動いてはくれず困ったものでした。それなのに近頃は改良が進み、ずいぶん働いてくれるようになって来ました。これは育種を仕事としている私から見ても驚く程です。
でも、ストレリチアすべてが変わってくれたわけではありません。未だ、頑固で人の望みを受けてくれないストレリチアも残っているのです。それが、ここで取り上げる矮性種なのです。ストレリチアの矮性種は幅広く、中でも「準」とも呼ぶべき種は、姿もやや大きいために育ちも花立ちも十分で量も多くなってきているので問題はありません。
困っているのは、本物の、矮性種なのです。生育が遅く、花立ちが良くないのは、株が小さく、持っている養分が少ないからで、これには、今のところ手立てがありません。どうしたらよいか、見当がつかないのです。ことが生理上の問題とあっては技術的な処理は難しいのです。
今のところは交配によって遺伝に頼ろうとしているのですが、これさえ有効であるとは思えません、解決できたとしても、相当な時間がかかることでしょう。でも、元々、ストレリチアは人の思うようには動いてはくれなかった植物ですから、一つぐらいは頑張って生き残ってくれてもしかたないことです。。
こんな調子の植物ですから、普通の人では付き合い切れません。ところが、今のところ入手出来ているのは2、3人で、しかも最高の品となると一人しかいません。それほど難しいのです。貴重な品であることを知って、楽に手に入れようとする人が何人も来ますが、そんな人に手に入れられるような品ではありません。
私が思うには、本物の矮性種を手がけることが出来るのは、最高のストレリチア趣味人しかいない、ということです。つまり、「酸いも、甘いも噛み分けた人」でなければ扱えないのです。優秀品種を揃えて持っています程度のレベルを適かに越えた人だけが扱えるのです。
ストレリチアを簡単に扱おうとする人には縁が無い存在なのです。私でさえも矮性種だけを扱えと言われれば尻込みするでしょう。他のストレリチアと一緒だから待てるのです。こんな訳ですから、私でさえも一般の人には、おすすめ出来ません。がっかりされるのが目に見えているからです。
