ストレリチア秘話No.656 ストレリチア消費の動向の不思議

 ストレリチアとは、いったい、どんな消費のされ方をしているのでしょうか。ここでは私が正確な調査をしたのではなく、わたしの所の情況だけですから、曖味な点は、お許し下さい。

 普通に考えると安い品ほど多く消費され、(つまり、売れ)価格が高くなるほど少なくなるように思われますが、実は、そうではありません。売る側にしてみれば、一番売れそうな品を多く準備し、売れそうもないものは在庫を減らすのが普通でしょう。

ところが、実態はそうはならないのです。価格の安い品は大量に売れると思われそうですが、そんなことが起きるのは流行の初めだけのことで、現在のストレリチアには起きません。ほんの僅かな量に留まります。

 意外なのは高級な品ほど望まれるのです。ところが、価格の点で成立出来ない場合は次の優良品に移ります。結果として高級品が一番、望まれているのです。これは私のように育種する側にとっては困るのです。優秀品種の誕生は少なく、大部分が予選落ちの処理をしなければならないのです。結局、低品質は捨てなければならなくなります。そうなると、残った優秀品は、それまでの経費を負担しなければならなくなります。そこで、優秀品の入手が難しくなってしまうのです。

 現在は多くの人に優秀品種が望まれているのは確かなのですが、この間のバランスが取れていないのが実情です。いくら望まれても、大勢の人を満足させるだけの優秀品種はありません。見方を変えれば、少ないからこそ価値があるのです。そこで手に入れられない人が出てしまうのです。そこで一つだけ気になることもあります。私が大勢のお客さんを相手にしていると、中には優秀品種が気楽に入手出来ると思っている人もいると言うことです。

 大量生産の工業製品と同じと考えているらしいのです。現代では、こんな混同があっても仕方ありませんが、ストレリチアが分っていないのではないかとさえ思われるのです。これではストレリチアの優秀品を手にいれることはできないでしょう。

  こうなると、優秀品種もいろいろあるのだとの見方を変えることも必要になってくるのではないでしょうか。私もストレリチアの語り人として、この「秘話」でそれを語らなければと思っています。