ストレリチア秘話 No.3 花立ちの良さ

クウレハ川自生地

ストレリチアを評価するのに大切な基準は、花の善し悪しは第二であって、第一は花立ちの善し悪しです。これは重大な問題です。花を次々に出してくれる株がある一方で、何年、何十年と栽培を続けても、1本たりとも花を見せない株もあるのです。これにはストレリチアの生まれ育った環境が大いに関わりがあると思えます。

雨の少ない厳しい環境の中では、花を多く咲かせて、種子を作ることは、せっかく貯めた養分を消耗してしまうのは、時には、生命の危険をまねくことになりかねないのです。そこで、ほどほどに花を咲かせる戦略をとることになるのですが、中には、子孫を増やすよりは、自分の生存を優先させるのもでてくるわけです。

私たちの栽培では、水も肥料も十分にやってあげるから、安心して花を出していいですよ、と言ったところで、こ とは遺伝の段階で決まっていること、ですから、おいそれとは聞いてくれないのです。

結局、品種改良で、遺伝に手を加えることになるのです。現在では、驚くほど花立ちが良く、花が出過ぎて困ってしまう系統もあるほどです。「花が多く出て困ることはないではないか」と思う人もいるかもしれませんが、贅沢な悩みも起きてくるんですよ。