ストレリチア秘話 No.5 遺伝こそ花立ち解明の糸口

クウレハ川自生地

私は早くから、環境条件を変えても花立ちはよくならない、事の本質は遺伝にある、と考えていました。私の圃場では、レギ~ネ350株、栽培していたのですが、全部が実生苗から育成したもので、遺伝が分離した結果、様々な形質に分かれているのが見て取れました。特に花立ちの優劣が目立ちました。同じ圃場の中、同じ環境条件の中にありながらも大きな違いがあったのです。原因は遺伝以外には考えられません。

 遺伝子レベルでは、こう言えるのではないでしょうか。花芽を作りなさい、と指示する遺伝子 もあれば、いや、まだ、まだと、その働きを抑制する遺伝子もあるのではないだろうか、ということです。この両者の力関係が花立ちを決定するのではないかと思うのです。一年草は養分の過不足が大きく作用するのですが、何十年も経たストレリチアの大株が花を一本も出さないのは、養分が不足しているからだ、などといえるものでしょうか。「花芽を作動させよ」との指令が下るか、どうか、にかかっているのではないでしょうか。

 こう考えてくれば、問題の解決は見えてきます。「指令を強力に推進する遺伝子を持った個体を作出すればよい」のです。その後、花立ちの優れた親株を使っての交配によってこの問題の解決は進んでゆきました。私のストレリチア研究の第一歩は「花立ちのよい株の作出にありました。