「赤い花のストレリチアが欲しくてきました」
こんなお客さん見えたことがありました。勿論、花弁(実は萼片)の赤いストレリチアはありません。苞の色を指しているのです。これほど、苞の色が印象を決めてしまうほど鮮やかな色彩のストレリチアの花もあります。
ストレリチアという植物は頑固で、人の思うように変化はしてくれません。品種改良が私の仕事なのですが、私の希望通りには、事は、そう簡単には進まないのです。しかし、その中でも、有り難いことに変化してくれる部分があったのです。それが苞の色彩なのでした。苞とは、蕾を包んで保護してくれている部分を指すのですが、ストレリチアの花は、以前、「仏炎苞」という、こじつけた、大げさな表現が使われていましたが、私は、さらりと、ただの「苞」を使っています。「仏炎」とは、仏像の付属物のことで 、日本だけの表現でしょう、世界には通用しないと思うからです。