ストレリチア秘話No.40 ストレリチアは熱帯植物ではありません

 「ストレリチアの花、エキゾチックですねえ!さすが熱帯植物、熱帯の雰囲気が表れていますねえ」

こんな言葉を聞かされることが、よくあります。私は、一瞬、戸惑ってしまい、続くことばもなく、困ってしまいます。

 ストレリチアの故郷はアフリカ大陸でも、一番の南の端、海の向こうは、もう、南極なんです。アフリカは大陸ですから、様々な気候帯にわかれています。全部が熱帯だと思うのは誤解です。ストレリチアの自生地は、南アフリカの東ケープ州のインド洋沿いの海岸地帯です。一部分、亜熱帯にまたがりますが、それは例外で、大部分が温帯、詳しく言えば暖温帯です。

 夏の暑さはあたりまえですが、冬は寒く、最低温度は5度近くまで下がり、セーターが必要となります。さすがに霜や氷は内陸部まで行かないと見られません。確かにエキゾチック、異国情緒ただよう花には違いありませんが、それは熱帯雨林の生まれ、だからではなく、我が日本からは最も遠く離れた、世界の果て、とも言うべき土地の乾燥草原で生きてきた植物だから、なのではないでしょうか。そんな、ことをいうと、

「なにを寝言いってんの、そこは、あんたたち、ホモ サピエンスの出身地じゃないの、自分の生まれ故郷の花をエキゾチックだ、なんて、頭がおかしいんじゃあないの?」

と、宇宙人にいわれかねません。