これはストレリチア、そのものではなく、自生地巡りの時、出会ったお話です。ジャンセア、パービフォリアの誕生地ではないか、と推定される南アフリカ 東ケープ州 パテンシーを訪れた時のことでした。
自生地の丘を降りての帰り道、村の「よろずや」ともいうべき、小さな売店に立ち寄りました。中年のおばちゃんが主人で、日用品から、みやげものまで並んでいます。食事は、料理は出せないけれど、パイならばある、と言うので、手作りのアップル パイを注文しました。店内を巡ると、どうやら土産物は地元産ではなく、遠くから仕入れた物のようでした。私は黒檀の木で作られた杖を一本買いました。
隣の棚に、何やら見慣れない小物を見つけました。桃の核ぐらいの大きさですが、こちらは表面がすべすべとした褐色で、アフリカの動物たちが彫刻されていて、ぶら下げるひもまでついています。私は家で待っている子供たちにと、5個、全部を買うことにました。少々、変わった買い方をする私に、おばちゃんが、
「それはマルーラの実の核なのよ」
と、おしえてくれました。このうちの1個は、いまでも大切にもっています