ストレリチア秘話No.42 ストレリチア 自生地 こぼれ話 その2

 実は、私はマルーラについての知識を多少、持っていたのです。私はストレリチアが専門でありながら、他にも将来性のある植物はないものだろうか、との思いをもっていました。やはり、根っからのパイオニア、開拓精神の持ち主なんですね。

 次におばちゃんは、透明な液体の入った酒の瓶」を指さし、

「これはマルーラ ブランデーよ」

と言い出しました。マルーラの果実は熟して落ちると、48時間で発酵して、お酒ができあがります。南アフリカの北部、カラハリ砂漠に近い地域にすむ部族は2月を「マルーラの季節」と呼んで待ち焦がれます。マルーラの果実は生で食べてもおいしいのだそうですが、そんなことをするのは馬鹿、やはり、酒にするのが一番、なのです

 熟して落ちた実がつぶれて池のようになります。近頃では、もっと清潔にバケツに拾い集めるようです。やがて発酵してお酒駕ができあがると大変なさわぎです。木の下に集まって毎晩のように宴会が続きます。歌ったり、踊ったりと、お酒がなくなるまで。しかも、マルーラの木は1本だけでなく、あちこちにあるのです

 実は、この季節を楽しみに待っているのは人間だけではないのです。ヒヒもカモシカも、他の動物たちも、押しかけてきます。中には飲み過ぎて酔っ払ってしまい、足腰が立たなくて帰れなくなって、転がって寝てしまうのまで珍しくないそうです。