ストレリチア秘話No.50 ストレリチアの本質に迫りたい ―研究者の願いー その2

ストレリチア 事始め

 私がストレリチアと初めて出会ったのは25歳の時でした。今でも、よく聞かれます。

「どういうわけで、ストレリチアと関わるようになったのですか?」と。

困ってしまいます。別になにがあったというわけではありません。ただ、何となく惹かれてしまった、というのが実情です。好きになるのに理屈はないのです。それにしても、とうとう、一生の仕事になってしまったのには、よほど、相性が良かった、と言えるかもしれません。

 途中から洋蘭にも熱を上げるようになりましたが、ランは研究が進んでいて、後発の私などは数にも入れてもらえません。その頃、オイル ショックが起きて、栽培上の大きな変わり目となったので、やはり、私はストレリチアに全力をかけようと思いたったのです。

 そこで先ず、ストレリチアの資料を探したのです。どう探してみても、あったのは園芸大辞典の、わずか半ページの記事だけでした。つまり、簡単に言えば、ストレリチアは南アフリカが原産である、くらいのことしか書いてなかったのです。がっかりはしません。

「0からの出発なら、私にだって出来るのではないか、やってみよう、」

と思いたった時、私は40歳になっていました。