ストレリチア秘話No.51 ストレリチアの本質に迫りたい ―研究者の願いー その3

ストレリチア研究 動き出す

 さあ、いよいよ活動開始です。今までの栽培者ではなくて、研究者としての出発です。しかも資料は全然ありませんから、基礎から始めなくてはなりません。ストレリチアとは何者なのか、どんな植物」なのか、から出発しなくてはならないのです。

 生物は、生まれ育った環境と一体である、といわれます。体を構成する物質から、振る舞い方に至るまで、環境、そのものとも言える存在なのです。例えてみれば「宇宙飛行士」の訓練です。人間は地球上で生まれ育ったわけですから、全然、違った宇宙空間には慣れていませんから、そのための訓練なのです。生物の本質からは逃れられないのです。

 このようなことから、その植物の本来の姿、本質を知るには、生まれ育った故郷まで行って、くわしく調べなければならないのです。これが出来なければ一人前の研究者とはいえません。私はストレリチアの故郷、南アフリカへ行かねばならなくなりました。

 ちょうど、その頃、園芸雑誌で平尾秀一先生の南アフリカの植物を巡る旅の記事に出会いました。私は、すぐさま訪問し、教えを請うことにしました。先生はストレリチアについては詳しくはありませんでしたが、そんなことは当たり前、それよりは、アフリカを旅することの心得を教えて頂きたかったのです。