ストレリチア秘話No.52 ストレリチアの本質に迫りたい ―研究者の願いー その4

いざ、南アフリカへ

 どこへ行って、何をすればよいのか、何も分かっていないのにアフリカへ行く。これは無謀なこと、この上もない、のですが、まだ42歳、若さの勢い、だったんですね。ヨハネスブルグ空港に降り立った途端から、当時、激しかった人種差別の扱いに見舞われます。トイレ然り、レストランも。でも私は、戦中、戦後の苦しかった時代の申し子、大して苦になったわけではありません。その時、空港のロビーで見かけた「ストレリチアの花にとまったサンバード」の写真、私の目は釘づけになってしまいました。係の女性に分けてもらえないだろうか、と、お願いしたところ、

「これは1枚しかないから無理ですが、まだ、ストックがあったと思います。あなたが帰国するときまで手配しておきます」

と、親切に応対してくれました。その後、帰国の際、有り難く頂戴することができました。

こんなことを書くのは、実は、この写真、皆さんも見ているからなのです。ストレリチア ニュースの表紙の写真、あれなんです。私の宝物、といえましょう。

 まず、平尾先生から紹介された、首都、プレトリアの植物研究所を訪ねました。しかし、親切に応対してくれたのは兎も角、ストレリチアについての情報は得られず、ケープタウンへいってごらんなさい、とのことで終わりました。その時、乗ったタクシーの運転手が話してくれた、「咬まれたら、3分で、あの世行き、」との毒蛇の話を思いだします。

 翌日、大陸 南端のケープタウン目指して飛び立ちました。途中、機内から見た内陸部の大きな穴、そう、ダイヤモンドを掘ったキンバリー鉱山。私はストレリチアのことで頭がいっぱいでしたから、あまり、印象は強くありません。