ストレリチア秘話No.55 ストレリチアの本質に迫りたい ―研究者の願いー その7

ガーデン ルートを走る

 朝、8時半、バスはターミナルを離れました。乗客は20人ほど、バスの設備もよく、快適な旅を予感させてくれています。内陸の乾燥地の殺風景な地域ではなく、インド洋沿いの海岸地帯は雨も十分似降るので、緑ゆたかな美しい風景が続くことから、このコースはガーデン ルートと呼ばれるようになりましたが、この時は、まだ、この名称は使われていなかったと思います。田舎の小さな町カレドンでお茶の休憩、モッセル ベイにてランチと時が過ぎ、夕方近く、ウイルダーネスのホテルに着きました。

 夕食の時、私はバスの案内係に、

「明日はポートエリザベスに着くが、ホテルに予約がしてないんです」

と言うと、

「よろしい、私が頼んであげます」

と、請け合ってくれました。人種差別の激しい、この国では、いくら、名誉白人待遇の日本人とはいえ、私が直接やったのでは、拒絶される恐れが大きいからのです

 翌日の昼食は、ピーテンバーグ ベイの大きなホテルで2時間休憩。旅も二日目、お互いが打ち解けてきていて、私たちは3組のグループでテーブルを囲みました。セーラー服を着たボーイが料理、一つ毎に注文を聞きにきます。終わり頃にチーズ オン ボードを頼むと、大きなお盆に、様々なチーズが十数種類も並んでいるのを運んできました。。隣に座っているおばちゃんたちが大騒ぎ、「おー、ビューチフル!」向かい側にいた中年の夫婦が、

「アプリコット パイの味がラブリーよ。是非、試してみたら?」

と。何も、別に料金を払うわけではないのです。何を食べようが、飲もうが、旅の料金にふくまれているのです。おうようなものです。私は、旅は嫌いではないのですが、国内の旅行に、あまり、行きたがらないのは、こんな気楽な旅をしてきてしまったから、なのかもしれません。それに英会話、未だに。自信はありません。でも、分からない言葉が出てきても、聞き取れなくても、気になりません。場慣れだけは十分にしているからでしょう。