ポートエリザベスを目指す
バスは、だんだんと樹木の多い地帯にはいってきました。これは後で知ったのですが、ここがチチカマ森林地帯だったのです。後ろの席の紳士が、
「ストレリチアがあるから見なさい」
と、窓から指さします。私がストレリチアの研究に来ていることを知っていたのです。丘の谷間のやや明るいところに、数十本の大きなストレリチアが見えます。ここがストレリチア アルバの自生地であることを知ったのは、後にシェルトン氏に連れられてきてからのことです。この時は、ただ、バスで通り過ぎただけのことでした。
夕方近く、バスはポートエリザベスの中継地のホテルに着きました。私は、ここで降りるので乗客たちとはおわかれです。明日からは、いよいよ、ストレリチアの自生地を目指します。
ここのホテルへ泊まった翌朝、フロントへ行き、もう1日泊まることが出来るか、と聞きますと、
「残念ながら、満員です」
との答えです。また差別が始まったのです。私は、また宿無しになってしまいました。もう、背水の陣です。