ストレリチア秘話No.76 ストレリチアの優秀品種は、お宝? 

 数あるストレリチアの中でも、優れた品種は、貴重な美術品か、芸術作品と同じようなお宝、だと私は思っています。それは、その株が生み出された途中の経過が、普通の品と違って、驚異とも、幸運に恵まれた、とも、或いは、滅多には起こり得ない偶然の結果である、とも言えるからです。つまり、そうそう、簡単には生まれない貴重品だ、ということです。

 交配の段階で、遺伝子同士の無数ともいえる組み合わせの中で、理想的な、或いは、最も望ましい、或いはまた、最も素晴らしいカップルの誕生だからなのです。例えてみれば、麻雀やトランプで、滅多には起こらない最高の手が回ってきたのに似ています。また、子供たちが遊ぶ、積み木細工にも似ています。どんな作品になるかは、その子が抱いたイメージと、その積み方によるからです。ストレリチアの育種家は、この株とこの株を組み合わせたら、こんな子が生まれるのではないか、と期待を込めて交配をするのですが、現実には、結果が思い通りには、なかなか、なりません。遺伝の組み合わせは複雑だからなのです。

 中には、知識不足のために平気で自家受粉をする人もいます。これが普通の品なら、これ以上、悪くなることもないでしょうから、いいとしても、優れた品種であれば、せっかく苦労して積み上げた作品をバラバラに、ご破算にしてしまうようなものです。実は、ストレリチアは、自家受粉を嫌います。中には、自家不和合性と呼ばれる、自分の花粉では結実しない不稔性のものもあります。

 滅多には生まれないような、優れた遺伝の組み合わせ。だから、優秀品種は、お宝なのです。