ストレリチア秘話No.82 ストレリチアの常識 その2

 ストレリチアの葉や花は太くて堅く、ハサミでは切りにくいので、私は刃物、小刀を使っています。台所用の包丁でも良いのですが、そこはこだわり、趣味もあって切れ味の良い作刀のものを使っています。刃渡りが20センチ前後のものが使いやすいのですが、仕事で使う時は別として、町中を持ち歩くと「銃刀法違反」になってしまいます。でも、こんなことを言うなら、料理用の包丁だって同じことです。

 ストレリチアの花の硬い茎を切るとき、切れ味の悪い刃物では、一押しでは切れず、さいごに薄皮1枚が残ってしまいます。これでは気分が悪いのです。そこで、きれいに研いで、

「スパッ」と切るのです。植え替え時に使うのは、古くなったお下がり品です。

 このように花もハサミを使わずに刃物で切る便利さを知っていますから、切り花栽培家にも勧めるのですが、意外にも、賛同してくれる人が少ないのです。不思議なことです。どうしているか、というと、なんと抜いているのです。誰かが始めたものを、そうするものだ、と思い込んでいるらしいのです。その上に、刃物で切ると、切り口から雑菌が入る恐れがある、との迷信もあるようなのです。この点は大間違い、傷口が出来ることには変わりは無いからです。ストレリチアの常識、とはいえ、頑固に信じない人も大勢いる、というお話でした。