ストレリチア秘話No.97 ストレリチアと季節への反応 

 植物は季節によって成長と休止を繰り返します。しかし、ストレリチアは、この反応がずれて、遅れて起きているように思えるのです。まず、春、四月、普通の植物は、そろそろ生長を開始します。それなのにストレリチアは、まだ、冬を引きずっていて花を咲かせ続けています。これを5月まで引きずり、遅いのは6月になって、やっと止みます。その分だけ、生長が後れるのです。

 ようやく、育ち始めたのが分かるのは6月に入ってからです。これは普通の植物に比べると、相当に遅い方です。でも、悪いことばかりではありません。梅雨時は高温多湿で細菌の繁殖する季節なのに、軟腐病の発生は余り起きません。細菌が、まだ、十分に繁殖していないからなのか、或いは、ストレリチアの動きが、まだ鈍いからなのか、原因は、まだ、よく分かりません。

 この病気が猛威を振るうのは、夏のピークが過ぎた8月下旬から、9月上旬です。これに台風が加わるのです。被害は、あっというまに広がります。ストレリチアにとって一番の成長期、これが、また、最も危険な季節でもあるのです。

 ストレリチアが驚くほどの成長ぶりを見せるのが、この季節で、この勢いは涼しくなり始めた9月から10月上旬まで続きます。気温は下がってくるのに、です。この傾向は、緩やかになるものの、11月まで続きます。寒さが近づいてくるのに、です。このように、冬の準備が遅れるために、冬の初めに寒さの被害を受けることになります。

 ストレリチアが、どうして、このような反応を示すのでしょうか。ストレリチアの自生地の環境とは違うためか、あるいは、元々、こいう性質なのか、よく分かりません。ただ、栽培に当たっては、わきまえておかねばならないことなのです。