ストレリチア秘話No.108 ストレリチア原種の風格  その2

 私の作出したAとBの黄色交配種は、「ゴールド クレスト」の名前でデビューし、大きな反響を起こし、現在も続いています。この優れた交配では、親株の素質が見事に受け継がれ、中には、親を超えた美しさを持つ個体もあって、なかなか、優れた一族です。それでも、花の美しさでは、子供たちの方が優れているとは言え、総合的な風格の点では、親のA,Bの方が勝っている、といえなくもありません。ジャンセア「ユイテンハーグ」の方は、花、苞の遺伝は強く伝わりませんが、堂々とした姿は子供に伝えられています。

 交配種は、自生地の環境から離れて、私たちの地域で生まれ育っていますから、同じストレリチアとはいえ、少しは変わっているはずですが、目に見えて、はっきりと、この差は分かりません。しかし、原種の持っていた力強さは失われてきている、と思っています。私は育種家としての責任上、ストレリチアの良さ、強健さを失わないようにしなければなりません。交配種だけで、どんどん、先へ進むだけでは心配です。途中で、一旦は、元のストレリチアの強さに戻す、そのためには、これからも原種の存在が重要なのだと思っています。

 ここまで深入りしてストレリチアを眺めれば、楽しみは増します。ストレリチアは奥が深いのです。