ストレリチア秘話No.245 ストレリチアの潜在需要(矮性種)

 私は10年以上も前からストレリチアの矮性種に関心を持ち、栽培を続けてきました。今までも、やや小柄なストレリチアへの希望は多くありましたが、本当に小さい「矮性種」を実際に手に入れた人はまだ、一人か、二人ぐらいでしかないのが現状です。一般の人々は、見たこととのないものは、欲しがるわけではありません。また、それが流行している、なれば争って飛びつきますが、まだ、海のものか、山のものか分からない時には手を出しません。「本物 矮性種」を手に入れた人は、特別な感覚の持ち主で、「あるはずだ!」だと尋ねて来たからこそ、発見できたのです。中には、そうとも知らず、何気なしに手に入れた人もいるかもしれませんが。

 我が国の住宅事情から見れば、矮性ストレリチアなら、どんな狭い部屋でも置くことは可能です。ただし、夏の間だけ日に当てる場所があれば、の話ですが。それにしても、矮性種の存在が知られ始めたとしても、大きな問題を二つ抱えています。

 その一つは、矮性種は、ベテランなら兎に角、初心者には、なかなか、なじめない性格を持っていることです。技術上の問題ではありません。普通のストレリチアと同じで良いのです。困るのは、花を咲かせるのに年数が掛かることです。これは持っている養分が少ないためで、根気よく待つしかありません。結局、他のストレリチアと一緒にして、花が出るまでの間をつなぐことになるのです。これがクリアー出来なければ矮性種と付き合うことは出来ません。

 次の難点は、矮性種が世に知られ、やや多くの需要が生まれても、供給する側がおうじられないことです。種子を採って殖やすことは、やるわけにはゆかないのです。花を咲かせるだけでも養分の消耗が激しいのに、その上種子までつけさせたら、親株は消耗してしえまって枯れてしまうかもしれないのです。結局、普通の実生苗の中らか、ほんの僅かな数しかでない変異株を待つしかないのです。これでは注文に応じられる筈がありません。今のところ、騒ぎが起きていないのは、希望する人が少ないために、なんとかバランスが取れているからなのです。他の方法はありませんから、何とか平穏に進行することを願っています。