ストレリチア秘話No.246 害虫だってグルメなのです

 ストレリチア栽培で困るのは害虫の被害です。自生地を遠くはなれて国際化して生きるストレリチアは、自生地では出会うことはなかった様々な害虫に悩まされています。虫の方も故郷を離れて放ろうしていますから、手強い天敵もいなくて暴れ放題となって迷惑をまき散らすのです。栽培する方は全く、お手上げで困ってしまうのですが、良い対策も見つかりません。

 その害虫の一つにカイガラ虫があります。卵から孵化した幼虫は適当な住処を探して歩き回ります。ここぞ、と狙いを付けると、足を捨てて吸い付きます。そこからは、もう移動することはありません。いや、足がないから出来ないのです。こんな習性ですから、爪で掻き落とせばよいのです。もう、二度と這い上がって来ることは出来ません。

 この虫が住み着くのは葉柄や葉の裏のほうですが、実は、選ぶことが出来る場合は花茎に集まることが多いです。花は蜜を生産しますから、葉柄よりは花茎の方が甘くて味がいいらしいのです。花茎の先端の方にはいませんが、これは居所が決まったあとに伸びたからでしょう。アブラ虫は先端の花になる部分に集中します。こちらは足があるから移動が自由に選べるからです。

 こんなことを知ってからって、何の役にも立たないでしょうが、観察を続けていると見えてきてしますのです。