ストレリチア秘話No.412 ストレリチア花の美しさの決め手は「苞」です

ストレリチアの花の評価は1本の花を見るだけでも事足りますが、実は、他にも方法があります。それは5,6本、いや、もっと多くてもよいのですが、まとめて花瓶に活けてみることです。ちょっと贅沢ですが、やれないことでもないでしょう。

 1本の時とは違った姿とはいいませんが、少なくとも、「良し、悪し」が強調されて出てくるのです。パッと、一目、見たときは花弁(実は萼ですが)が目立ちます。オレンジ色でも黄色でも。しかし、よく見ている内に、これを支えているのが「苞」なのだということがわかってきます。特に優秀花を揃えた時は驚きです。赤い花の集団に見えてくるのです。もう、花弁のオレンジも黄色も、脇役の存在になってしまっています。全体が赤い花の集まりに感じられてくるのです。これを経験すると、もう、普通以下の花は見たくなくなってしまいます。そんな寂しい花には耐えられなくなってしまうのです。

 ストレリチアは頑固で、育種で変えようとしても、なかなか、いうことを聞いてくれません。その中でも、苞の色だけは変化を受け入れてくれるのです。これは有り難いことだと思っています。従って、これからも私たちを楽しませてくれる苞が次々と生まれてくることでしょう。

 ところで「苞」の名称ですが、以前は「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれていました。

この何とも仏教風の呼び名は意味不明で、しかも日本だけでしか通用しないものでした。これはストレリチアだけの名称ですから、案外、「極楽鳥花」と翻訳された続きかもしれません。私は、植物学上の名称だけの「苞」とだけを使っています。因みに苞とは、蕾、花弁を保護している部分を指します。でも、ただのとは、少々、味気ない気がしないでもありません。