ストレリチア秘話No.420 ストレリチアの寒害

 ストレリチアは丈夫な植物ですから、被害を受けることは多くはありませんが、それでも生物である以上、少しばかりの障害は避けられません。体が丈夫に出来ていますから物理的な被害は少ないのですが、病原菌や害虫の害はないこともありませんが大したことはなく、一番、困るのは寒さの害です。自生地では問題はなくても、私たちの日本のような温帯地域では、少しばかり気を配らないとストレリチアは生きていけません。

 先ず、寒さに一番、弱いのは生まれたばかりの幼苗です。葉も薄く、柔らかで、つまり、細胞液の濃度が低いので凍りやすい構造になっています。この状態は1年生から2年生まで続き、3年生あたりから硬い葉や茎となって、すこし強くなってきます。こんなわけですから幼苗は成株よりは守ってやらないと生きていけません。

 次に弱くて寒害を受けやすいのが花です。とは言っても開花して組織が固まった状態になれば、少しは耐えられますが、一番危険で、デリケートなのは蕾が育ってきて花粉を形成する時期です。困ったことに、ストレリチアの花は、この状態の時が冬の寒さと重なることが多いので被害を受けてしまうことです。花芽が伸び上がってきてはいるものの、まだ蕾のかたちにまではなっていない頃ですから、被害を受けても外からは見えません。それでも組織が凍って死んでしまったのですから、生長は止まってしまうのですが外側は相変わらず緑色なので気がつかず、いつになっても花が咲かないのを不思議に思っている内に春がやって来て、ようやく気づくことが多いようです。

 ストレリチアは丈夫な植物であるとはいえ、発育段階によって差があることをわきまえなければなりません。