ストレリチア秘話No.473 ストレリチア 寒さ対策の功罪

 よかれと思ってしたことが、成功したにも拘わらず、同時に困ったことも付いてきてしまうことが、よく起きます。この世の中、いいことばかりではすまない、のが自然の掟なのだと自分に言い聞かせるしかありません。

 一昨年、昨年と続いて我が家のストレリチアは寒害を受けました。真冬に授粉した花が凍って死んでいたのが春になって判明しました。それだけではありません。南に面した物に置かれたストレリチアの相当数が葉に凍害を受けていました。枯れるほどの被害ではないとはいえ、ショックな出来事でした。ビニールやガラス、石油の眼用に頼らない自然栽塔では、こんなことはよく起きます。

 そこで今年は、霜除けを厳重にすることにしました。今まで50%光のダイネット1枚だったのを2枚重ねて張ったのです。暗くなるのは承知の上でした。何しろ、ストレリチアを凍らせないことが優先でしたから。

 開始してから2ヶ月、第一の関門、クリスマス寒波はしのげましたから、これで一安心と思いきや、別の問題が起きているのに気がつきました。日射量が極端に減ってしまうのはわかっていましたが、ストレリチアは生長休止期でもあるし、春から、また取り返せばよいだろうとの楽観から、大して気にも止めていませんでしたが、困ったのは、花が、なかなか咲かなくなってしまったことでした。日差しが弱いので、日中でも気温が上がらないためです。それでも12月中旬までは最高気温が15度から 20度の日がありましたから気になるほどではなかったのですが、それ以降は、なかなか、進まなくなってしまったのです。交配のために花粉を採りたくても、開花してくれなければ仕事になりません。それでも、日数をかければ開花してくれますから、対応のペースを落とせばよいのです。花首が少しばかり弱くなったり、赤色の発現がやや落ちることなどは、日射不足が原因だと、私自身が承知していればよいことですから。

 せっかちの私にとっては、「困ったあ!」の毎日ですが、これもストレリチアを生き延びさせるためには仕方ない事だと思っています。やっぱり、両方いい、何もかもいいことばかり、はないんですね。