ストレリチア秘話No.499 ストレリチア栽培家は孤立し、名花は秘匿される

 ストレリチアに関わる人々が、どこに、どれだけいるか?見当も付きません。ストレリチアの専門書を出版していた頃は、購入者名簿を作っていましたから、或る程度の数と地域の分布がわかりましたが、遠い昔のことですから、現在は大きく変わっていることでしょう。

 バラのような人気のある花でしたら、毎年、展示会も開かれ、同好の士の集まる会も組織化されて、お互いが知り合い、情報交換も可能です。でも、ストレリチアには何もありません。

 全国的にバラバラに散在し、お互い同士が知り合うこともなく、孤立した状態です。

 これでは、自分の知識は正確なのか、持っているストレリチアのレベルはどの程度なのか、今、全国的にどんな動きになっているのか、などなど、知りようがありません。園芸雑誌はあっても、人気の花を取り上げるだけで、ストレリチアのような特殊な花は滅多なことでは出てきません。たまに出ることはあっても、内容は通り一遍のことがらに限られてしまいます。私は、

 「ストレリチア栽培の一番の困難点は正確な情報の入手をどうしたらよいかがわからない」

 こと、と思っています。

 こんな有様ですから、人ばかりか、ストレリチアも、よくない状況の中に置かれます。私が泣く泣く手放した名品が、大勢の人の目に触れることなく、どこかへ吸い込まれ、消えていってしまうことです。持った人の扱いがよくないといっているのではありません。ストレリチアを取り巻く状況を指しているのです。マンションのベランダはストレリチアの置き場に向いています。でも、そこは関係者以外は立ち入れない場所なのです。それが展示会でもあれば外に出て人目にふれることが出来るのに、と思うのです。

このようにして名品は秘匿され、入手が困難になってしまいます。この希少性とそ価値があるのだ、との論法もあるでしょうが、生み出した側は、大勢の人に見てもらいたいのです。