私も気がつけば93歳。ストレリチアと付き合い初めてから既に60年を越えていますが、その間、同じことばかり、やってきたわけではありません。一口にストレリチアとはいえ、無茎種にはレギーネ、パービフォーリア、ジャンセアの3種しかないながらも、最初の頃はオレンジのレギーネを相手にするしかありませんでした。
その後、ストレリチア研究を本業とするようになり、自生地の調査のために南アフリカを訪れるようになり、各種の親株が入手出来、品種改良が進められるようになりました。
黄色種のゴールド クレストの作出に成功したのは、この頃のことです。でも、最初はレギーネから始まったとはいえ、段々と難しい問題に遭遇するようになっていきました。
ゴールド クレストの次にジャンセアが必要とされる時代がやって来たのです。最初はブラックヒル自生地で入手した 2万粒の種子で事足りると考えていたのが種子が古かったせいで、わずか10数本の苗しかできなかったのです。この出来事が、その後のストレリチア栽培に大きな影響を及ぼすことになっていったのです。
私のストレリチア遍歴も変わらざるを得なくなってしまいました。今まではストレリチアは頑固とはいえ、レギネー程度で済んでいたことが、今度は、もっと、もっと難しいジャンセアまでも対象にしなければならなくなってしまったのです。これは将来も続くことは間違いないでしょうから、難問題に立ち向かわなくてはならないことは間違いないでしよう。
