このマルーラは南アフリカの北部からカラハリ砂漠に生えている木で、ここ、インド洋沿いのケープ州にはありませんから、おばちゃんが手にしている酒は北部から仕入れたものでしょう。しかも、生のマルーラ酒ではなく、いったん蒸留して、アルコール度数を上げたものです。
「このお酒は強くてねえ、グラスで一杯飲むと、みんな陽気になって歌い出し、踊りも始まるのよ。それがねえ、2杯目を飲むと、酔いが回ってきて、けんかが始まるの」
「3杯、のむと?」
「みんな寝てしまって静かになるの」
と。みんな大笑いで幕となりました。
わたしは1本欲しくなりました。だが、待てよ、これから先も旅を続けるのに、こんな重い物は困る、と、あきらめたんです。それが今になって、しまった、あの時、何で買わなかったんだ、と悔やんでいる始末なのです。「食い物の恨みは恐ろしい」といいますが、飲み物、酒も同じなんです。その気持ちが尾を引いて、こんな記事を書かせているのです。このために私は未だにマルーラ酒の味を知りません。残念なこと、この上もありません。何年か前、インターネットでマルーラ リキュールの広告を見たことがありました。マルーラ酒は生産量が、ごく少ないので、他の酒を混ぜて水増ししているのでしょう。これでは、本来の味は失われているに違いない、と手を出しませんでした。

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