ストレリチア秘話No.928 栽培の本当の楽しみは?

 ストレリチアを相手にしていて、一番の楽しみは、夏の朝、植物たちに会いに行くことです。苗や若い株は、日中は強い日差しを受けて葉を丸めて耐えている姿なので、「大丈夫かなあー」と心配で、落ち着きませんが、朝は堂々と葉を広げ、力一杯の生育ぶりをみせてくれているのです。ストレリチアは変化が少なく、育っているか、どうかがわからない季節が多いのですが、夏は別です。一日毎の成長ぶりがわかるほど育ってくれるのです。育種家としての私の最大の目的は優秀品種の作出にありますが、この夏の朝の喜びに比べれば、そんなことは霞んでしまいます。

 植物の栽培にも、色々な思惑がからんでくることは避けられませんが、植物相手の最高の価値は、生長の喜びを共に味わうことにあるのではないでしょうか。若い株ほど成長が早いので反応がわかりやすいのですが、成株だって負けていません。初花の開花で一人前になるのですが、その後も、まだまだ、生長は続きます。堂々とした姿になったのを見て、改めて、これが本来のストレリチアの姿だったのだと驚かされることだってあるのです。植物栽培の奥深さを改めて感じさせられます。