私が60年以上もかけたストレリチア栽培の経験から得た秘訣を公開します。それは武道の秘伝に似ているかもしれません。巻物に書かれた秘伝は、抽象的な事柄ばかりですが、それを具体化してみると、極く平凡なことが多いようです。一見、誰でも出来そうなのだけれども、その実現には修行がすべて、ということらしいのです。私は、これをストレリチア向けに翻訳してみようと思うのです。
その一つに、ストレリチアの特徴は、結果が表われるのに年数がかかることで、ここが重要なポイントなのです。始めたときは、正しくても、間違っていても、大した違いがないようにみえても、長い年月の後に結果が表われるのです。そうなってから気がついても、もう間に合いません。
この「長い年月」を+と捉えるか、或いは−と思うかが勝負の分かれ目になるのです。
簡単にいいますと、最初に手に入れた品が駄物と名品だったとします。50年後には、この二人の差はどうなっているでしょうか。スタートの頃は大した違いはありません。但し、入手の苦労は段違いでしようが。この開きが年と共に拡がりますから、50年も経たら大変です。
例を挙げますと、我が家の発展を支えてくれたのは、南アフリカから持ち帰った3株の原種です。優れた交配親として活躍してくれただけでなく、40年もの間に数も増えています。
昔も今も、我が家の宝物なのです。それに引換え、その頃同居していた他の株は、今,全然、残っていません。大して役に立たなかったからです。それほどの差が起きてしまうのです。このことは名品に出会えた幸運によること大です。だからといって、幸運に恵まれなければと解釈してはならないのです。苦労して持ち帰ったことがすべてではありません。その後の40年間の働きの方が大きいからなのです。
