ストレリチア秘話No.573 落ち着いた平和な原生に生きる、自生のストレリチアと戦いに明け暮れる戦国時代に生きる、栽培ストレリチア

 厄介な雑草を退治しましたので、これで一安心。いやいや、そうはいきません。新顔がすぐに侵入してきます。だから、また、繰り返さなければならなくなります。

 「そんなの、いやだ」

 という人がいたら、その人はストレリチアと付き合うことは出来ません。これこそがストレリチアの栽培なのですから。

 原生のストレリチアを見てみましょう。自生地には雑草はありません。そこは厳しい自然の掟が支配していて、雑草など入り込む隙は無いのです。原初の頃は植物同士の争いがあったでしょうが、何百万年、何十万年と時が移るに従い、ようやく、お互いの折り合いがついているからです。ガッチリと組まれたシステムは、もう、よそ者の侵入は受け付けません。

 いくらセイタカアワダチソウの種が風にのって飛んできても、発芽するなんて、とんでもない、許してもらえないのです。自生地のストレリチアは、この安定した環境に守られて生きているのです。

 ひるがえって私たちの周りのストレリチアは、丸っきり違った環境に生きています。自然を全く破壊してしまったゼロの空白地帯で、いわば植民地みたいな状況です。従って、そこで生きようとする植物は、お互い同士が生き残ろうと必死に争う、いわば、戦国時代なのです。害虫だって、雑草だって、自分の生きるテリトリーを確保しようと懸命です。

 このまっさらな新天地で、何ら規制を受けることもなく、自由に振る舞える雑草を相手にすることになるのです。ここではストレリチアも、その一員で、必ず、成功する保証はありません。

 「ストレリチアよ、がんばれ!俺がついているからな」との応援団がなければ、将来の希望が持てないのです。

 この植物と人間が協力する健気な姿が「ストレリチア栽培」なのだといえるでしょう。