ストレリチア秘話No.574 ストレリチア栽培は二重の構造で成り立っています

 栽培とは、ストレリチアが持つ性能を100%発揮出来るよう手立てを講じることといえましょう。先ず、第一は、物としての植物を育てることです。これは誰にも分ることですから、ここでは取り上げません。第二は、ストレリチアの生活を生態的に見て、理解を深め、守り、育てることです。しかし、これは目に見えることでありませんから、難しいことです。この章に取り組むのはトップ レベルの人といってよいかもしれません。

 私たち、動物は勿論ですが、植物だって、個人だけでなく社会の中に生きています。それも、自分たち、同類だけでなく、あらゆる生物ばかりか、環境、すべての中に生かされてい

 ます。私たち自身が気づこうが、気づくまいが、この影響は避けられません。厄介なのは、目にみえないことですが、よほど鈍感な人でない限り、感じ取ることはできるのです。

 ストレリチアだって、周囲からの社会的(環境からの)圧力を受けています。同じストレリチア同士、或いは、近隣の植物と無言のテリトリー争いもあるでしょうし、また、何らかのコミュニケーションさえ、あるかも知れません。これら全部を私たちが把握することは出来なくても、その現象の意味を知ることは無駄ではありません。

 鉢に侵入した雑草一本引き抜くにしても、「ただ、雑草一本取った」と、「ストレリチアに害をなす侵入者を取去った」

 では、同じ行動でも意味が違ってくるでしょう。草を取る、を単なる労働として捉えるか、生態的な意味のある行為とするかの違いです。

 私たちのストレリチアに今、目には見えないが、どんな圧力がかかって居るだろうか、を知ろうと心がけること、これこそがトップレベルの栽培技術です。