前の章 No.613号にて私は、ストレリチアでは我が日本は世界のトップ レベルにある、と述べましたが、実はくわしい解説をしておかないと不正確な表現になると気づきました。現実には、時代の最先端の品種を手に入れて、現状が認識出来ているのは、未だ、僅か数名しかいないのです。進んでいる、といっても、その程度であって実際の活動はたいしたことではないのです。現在、種子採取が進行中のジャンセアゴールドやパアービフォリアゴールドは、まだ、私のアイデアにしか過ぎませんから、そのような品種の出現が望まれているわけではないのです。
パービフォリアゴールドの作出は、もっと早くからやれば出来たのですが、私としてはジャンセアの改良の方を優先させたかったのです。でも、一般の人々は私ほどにはジャンセアの将来には重きをおいてくれないので、仕方なく別な道も実施することにしたのです。ジャンセアのように無葉ではなじめないが、小さくても葉のあるパービフォリアなら望んでくれるだろうと思ったからです。でも、これは未だ種子の段階ですから、実際には、どんな表れ方をするのかは分っていません。新しい品種の作出はそれほど難しいのです。
ストレリチアの進歩に時間がかかるのは、見込み通りに事が進まないからですが、人々の好みに左右されて動きがとれなくなることもあるのです。そこでは研究者の思い切った数量が必要な場面もでてきます。理解して頂きたいのは、私たち語り人は現状を改善することだけを望んでいるだけではないことを知ってもらいたいのです。私たちが、未だ見ぬ先までも見たいと思っている欲張りな存在なのです。
ストレリチアとは、元々、融通の利かない地味な存在ですから、ほどほどに活かせば十分だと考えるのが普通でしょう。それを、あらゆる可能性を言じて開発してしまおうとする人物が表われたのです。この変化はストレリチアが持っていたとは言えないかも知れません。特殊な望みを抱いた人物がいたからこそ生まれた事かも知れないのです。

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