「葉は、陸上植物において、最も原始的かつ本質的器官であって、最高の権限を付与されるべきものである。陸上の葉はその大きさや形および成長様式において驚く程、多様であるが、その微細構造は実によく似ている。いったん、こうした構造が出来上がってしまったら、その後、様々に変形し得たのだと思われる」(E・j・H・コーナー)
このように葉は植物を代表する器官で、森林、植生、緑の風景といえば、すべて葉を指しています。それほど植物に取って大事な部分なのです。
それなのにジャンセアは、乾燥地へ移り住むために、この大事な器官を捨ててしまったのです。最初、この話を聞いたときは、「ああ、そうですか」位にしか受け止めませんでしたが、今となると、ジャンセアは大変なことをしてのけたものだと驚いています。最初に紹介した解説のように葉は植物の重要な部分ではありますが、光合成を受け持つのが主で生命活動の中心では無いのではないでしょうか。もし、それほどの部位だったら、ジャンセアは生きてゆけないでしょう。
それにしてもジャンセアは大事な部分を失ったのです。未練もあるに違いありません。その証拠に、ジャンセア同士の交配なのに、やたらにレギーネやパービフォリアの葉を持つ先祖返りの子供達が生まれてくることです。これは葉を持っていた先祖に帰りたい気分が残っているからではないでしょうか。
それだけに止むに止まれぬ選択をし、健気に生きてきたジャンセアを応援したいのです。
同じストレリチアでも大型種は皆、特別大きな葉を持っているのにジャンセアだけは全然無いのです。一つの属の中でこれほどの違いのあるものはないでしょう。ストレリチアは、それほど厳しい環境の中を生きてきたのです。
